この記事でわかること
新NISAで保有中の投資信託が暴落したとき、売るべきか持ち続けるべきか。初心者が陥りやすい判断ミスと、長期積立における暴落の正しい捉え方を具体的な数字と根拠で解説します。
📌 結論:新NISAで積立投資をしている初心者は、暴落時に売却するのは一般的に得策ではないと言われています。売ると「非課税枠の消滅」「損失の確定」「底値での機会損失」という3つのデメリットが同時に発生します。
この記事の結論
新NISAの積立投資は暴落時も売らずに継続が原則。売ると非課税枠消滅・損失確定・回復期の機会損失が同時に起きる。

暴落時に「売りたい」と感じるのは自然な反応
投資信託の評価額が前日比で数万円下がったとき、多くの人が「早く売って損を止めたい」と感じます。これは人間の本能的な損失回避心理によるもので、行動経済学では「損失は利益の約2倍強く感じる」と言われています。
ただし、この感情に従って売却するかどうかは別の話です。まず「なぜ売りたいのか」を言語化することが、冷静な判断への第一歩になります。
新NISAで売却すると起きる3つのデメリット
新NISAの非課税枠には、一般の証券口座にはない特有のルールがあります。売却前に必ず確認してください。
① 非課税枠が翌年まで戻らない(2026年時点)
新NISAのつみたて投資枠(年間120万円まで)は、売却しても枠がリセットされるのは翌年1月1日です。たとえば2026年6月に売ると、その年の残り6か月は同額の非課税枠を再利用できません。
年間120万円÷12か月=月10万円ペースで積立中なら、6か月分・約60万円の非課税投資機会を失う計算になります。
② 評価損が「確定損失」になる
売らない限り損失は「評価損(含み損)」にすぎません。売却した瞬間に損失が確定します。新NISAは非課税口座なので、損失を他の利益と損益通算できないという点も一般口座と異なります。つまり売って損した分を税務上で取り戻す手段がありません。
③ 底値付近で買い戻す機会を逃す
過去のデータを見ると、リーマン・ショック(2008年)後のMSCIワールド指数は底値から約5年で回復し、その後は暴落前の水準を大きく上回って推移しています(金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」参照)。暴落時に売ってしまった投資家は、この回復期の上昇を取りこぼした可能性があります。

「売るべきケース」と「持ち続けるべきケース」の比較
| 判断軸 | 売却を検討してよいケース | 持ち続けることが一般的なケース |
|---|---|---|
| 投資期間の見込み | 1〜2年以内に資金が必要 | 5年以上使う予定がない |
| 生活への影響 | 生活費が払えなくなるほど現金が不足 | 生活費・緊急資金は別に確保済み |
| 投資対象の問題 | 投資先企業・ファンドに構造的な問題が発覚 | 世界株・先進国株など分散型インデックス |
| 精神的負担 | 毎日気になって睡眠・仕事に支障が出る | 「長期的には戻る」と根拠を持って待てる |
| 元の投資目的 | 短期利益を目的に購入した | 老後・教育費など20年以上先の目標 |
「5年以上使わないお金で、世界株インデックスに積立中」という条件に当てはまるなら、暴落時に売却するメリットはほぼないと言われています。
暴落時に初心者が実際に取るべき3つの行動
- 評価額アプリを1日1回以上見ない
頻繁に確認するほど感情的な判断をしやすくなります。週1回・あるいは月1回に絞ることが一般的に推奨されています。 - 積立設定は止めない・むしろ有利な側面を確認する
暴落中は同じ積立金額でも多くの口数を購入できます。月3万円積立なら、基準価額が10,000円のときは30口買えますが、7,000円に下がれば同じ3万円で約42口買えます。平均購入単価が下がる「ドルコスト平均法」の効果が働く局面です。 - 投資元本と生活費を切り分けているか確認する
「売りたい」という衝動の裏に「実は生活費が不安」という現実的な問題が隠れているケースがあります。生活費6か月分(目安:月支出×6)を別口で現金保有しているか確認してください。

「暴落でも売らずに済む」ポートフォリオの作り方
暴落で慌てる原因の多くは、投資に回す金額が多すぎることです。一般に「緊急資金(6か月分の生活費)+近い将来使う資金は現金」「残りの余剰資金を投資へ」という配分が基本とされています。
たとえば月収30万円・月支出20万円の一人暮らしの場合、緊急資金の目安は20万円×6=120万円。これを銀行預金に置いたうえで、毎月の余剰資金の一部(たとえば2万〜5万円)を新NISAのつみたて投資枠へ回すのが一般的なスタート像です。
投資額が「なくなっても生活が壊れない金額」であれば、暴落時の心理的ダメージは大幅に軽減されます。
よくある誤解:「損切り」は新NISAでは一般株式と意味が違う
株の個別銘柄では「損切りして次に備える」という戦略が有効なことがあります。しかし新NISAのインデックス型投資信託では、個別企業の倒産リスクはなく、世界全体・先進国全体の経済成長に連動するため性質が異なります。
また前述のとおり、新NISAでの損失は他の口座との損益通算ができないため、損切りのメリットが一般口座より小さいと言われています。「損切りすべき」という一般的な株式の格言をそのままNISAの投資信託に当てはめると、判断を誤る可能性があります。
まとめ:暴落時に初心者が覚えておくべき要点
- 新NISAで売却すると「非課税枠の消滅」「損失の確定」「回復期の機会損失」が同時に起きる
- 5年以上使わない余剰資金で積立中なら、暴落時の売却は一般的に不利と言われている
- 生活費6か月分を現金で別保管しておくことが、冷静な判断の土台になる
- 暴落中は積立の口数が増える。ドルコスト平均法の恩恵が受けやすい局面でもある
- 「売りたい衝動」を感じたら、まず「いつこのお金が必要か」を書き出すと判断が整理しやすい
次に取る具体的な一歩:証券会社のアプリを開き、自分の積立設定・生活費の現金残高・投資期間の目標をメモ帳に書き出してみてください。それだけで「売るべきか」の答えが自分で出しやすくなります。
よくある質問
Q: 暴落が続きそうなら一時的に積立を止めた方がいいですか?
A: 一般的には止めないことが多いと言われています。積立停止中は暴落した安値で買えなくなるため、回復時の利益を取りこぼすリスクがあります。ただし生活費が逼迫している場合は、まず家計の安定を優先することが先決です。
Q: 評価損が30%を超えたら売り時ですか?
A: 損失率で機械的に売る基準はないと言われています。重要なのは「その資金を何年後に使うか」です。10年以上先に使う資金なら、過去のデータ上は30%の暴落からも回復している事例が多くあります(出典:日本証券業協会の長期投資データ)。
Q: 暴落した今こそ一括投資した方がいいですか?
A: 「今が底」かどうかは誰にも分かりません。手元に余剰資金があるなら追加積立を増額する方法もありますが、一括投資はさらに下落したときの精神的ダメージが大きくなるため、初心者には慎重な判断が求められます。
Q: 新NISAで売却した場合、枠はいつ復活しますか?
A: 2026年時点のルールでは、売却した分の非課税枠は翌年1月1日に復活します。たとえば2026年8月に売却した場合、その枠が再び使えるのは2027年1月1日以降です。年内の再投資には使えない点に注意が必要です。
Q: 暴落時に証券会社を変えるのはどうですか?
A: 新NISAは口座を別の証券会社に移す手続き(金融機関変更)が可能ですが、変更手続き中は新規投資ができない期間が生じます。暴落時の移管は手続きの空白期間に回復局面が来るリスクもあるため、暴落対応として移管を急ぐ必要性は一般的に低いと考えられます。
本記事はプロモーションを含みます。投資はリスクがあります。

