この記事でわかること
NISAで保有中の投資信託を別の銘柄に変更(スイッチング)する方法を解説。売却→再購入の手順、非課税枠の消費、税金の扱い、注意点まで具体的にまとめました。

結論:NISAのスイッチングは「売却→再購入」の2ステップ。ただし非課税枠は戻らない
NISAで保有している投資信託を別の銘柄に乗り換えたい場合、「スイッチング」機能はNISA口座では使えません。正確には「①現在の銘柄を売却 → ②新しい銘柄を買い付け」という2段階の操作が必要です。
最重要の注意点として、売却した分の非課税枠は翌年まで復活しません(新NISAの成長投資枠は翌年復活、つみたて投資枠も同様)。この仕組みを知らずに動くと損をする場合があるため、手順の前に必ず確認してください。
そもそも「スイッチング」とはどういう操作か
投資信託の世界では「スイッチング」は同一ファンドシリーズ内での乗り換え機能を指します。しかしNISA口座ではこの機能は利用不可です(2026年8月時点・各社公式サイト確認)。
NISAで銘柄を変えるには、保有している銘柄を「売却(解約)」し、売却代金が口座に入金されてから「別の銘柄を新規買い付け」する流れになります。イメージを整理すると次のとおりです。
- スイッチング(特定口座):同シリーズ内で直接乗り換え可能。売却益に約20.315%の税金がかかる。
- NISA口座の銘柄変更:売却→再購入の2ステップ。売却益は非課税だが、使った非課税枠は翌年まで戻らない。

新NISAの非課税枠の仕組み:スイッチング前に必ず確認
新NISAには年間投資枠と生涯投資枠(最大1,800万円)があります。金融庁の制度説明によると、枠の再利用のルールは以下のとおりです。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 生涯投資枠(合算) | 最大1,800万円(成長投資枠は最大1,200万円) | |
| 売却後の枠の復活 | 翌年に復活 | 翌年に復活 |
| 当年の再利用 | 不可 | 不可 |
たとえば、成長投資枠で購入した100万円分の銘柄を今年8月に売却した場合、その100万円分の枠は今年中には使えません。翌2027年1月から復活します。年内に新しい銘柄を買い付けるには、残っている今年の枠を使う必要があります。
手順:NISAで銘柄変更(スイッチング)を行う5ステップ
以下は主要ネット証券(SBI・楽天・松井等)共通の大まかな流れです。画面の名称は証券会社によって異なります。
- 現在の保有銘柄と評価損益を確認する
ポートフォリオ画面で「取得単価」「現在の評価額」「評価損益」を確認。含み損がある場合は後述の注意点を読んでから進む。 - 売却(解約)注文を出す
売りたい銘柄を選択 → 「売却」または「解約」ボタン → 口数・金額を指定 → 「NISA口座で売却」になっていることを確認して注文確定。 - 売却代金の入金を待つ
投資信託は注文日から通常3〜5営業日後に売却代金が反映されます(ファンドにより異なる)。入金前に次の買い付けはできません。 - 新しい銘柄の買い付け注文を出す
買い付けたい銘柄を選択 → 「買付」ボタン → 金額・口数を指定 → 「NISA(成長投資枠 or つみたて投資枠)で買付」になっていることを確認して注文確定。 - 購入完了を確認する
取引履歴・保有一覧で新銘柄が反映されているか確認。反映まで1〜2営業日かかる場合があります。

スイッチング時によくある失敗と注意点
注意点①:含み損で売ると損失が確定する(損益通算もできない)
NISA口座の売却益は非課税ですが、反対に売却損も他の口座の利益と損益通算できません。含み損が出ている銘柄を売却すると、その損失は切り捨てになります。特定口座なら他の利益と相殺して税金を減らせますが、NISAではその恩恵がありません。含み損が大きい場合は「長期保有で回復を待つ」選択肢も検討してください。
注意点②:年内の枠が足りないと新銘柄を買えない
年間投資枠を使い切っている状態で売却しても、同年内に新銘柄を購入できません。残りの年間枠を事前に確認してから動くことが重要です。証券会社のマイページ「NISA利用状況」で残枠を確認できます。
注意点③:「つみたて投資枠」の対象銘柄は限られる
つみたて投資枠で買い付けができるのは、金融庁の基準を満たした長期積立向けファンドに限られます。乗り換え先として考えている銘柄がつみたて投資枠の対象外であれば、成長投資枠を使う必要があります。証券会社の検索画面で「つみたて投資枠対象」フィルターをかけて確認しましょう。
注意点④:積立設定は別途変更が必要
毎月自動積立を設定している場合、売却しても積立設定は自動的に止まりません。古い銘柄への積立が続いてしまうため、積立設定の変更・停止を別途操作してください。
注意点⑤:売却から再購入まで「空白期間」が生じる
売却してから入金・再購入完了まで最短でも5〜7営業日程度かかります。その間は市場に投資されていない状態(キャッシュポジション)になります。相場が急騰した場合に乗り遅れるリスクがあります。長期インデックス投資では過度に気にする必要はありませんが、知っておくべき事実です。
こんな人はスイッチングを急がないほうがいい
以下に当てはまる場合、現在の銘柄を保有し続けるほうが合理的な可能性があります。
- 含み損が20%以上あり、売却すると大きな損失確定になる
- 年内の非課税枠をすでに使い切っており、翌年まで再投資できない
- 乗り換えの目的が「短期の値動きへの対応」で、長期的な方針変更ではない
- 現在の銘柄と乗り換え先の銘柄の信託報酬の差が年0.1%未満で、乗り換えコスト(枠の消費・手間)に見合わない
松井証券でスイッチングする場合の確認ポイント
松井証券はNISA・投資信託に対応しており、マイページの「NISA口座 保有残高」から残枠と評価損益を一画面で確認できます。売却注文は「投資信託」→「保有銘柄一覧」→対象ファンドの「売却」から進めます。売却代金の反映後に「投資信託を探す」から乗り換え先を購入します。操作に迷ったときは松井証券の公式ヘルプページ(サポート)に手順動画があります。
まとめ:NISAの銘柄変更で押さえるべき5点
- NISAにスイッチング機能はない。売却→再購入の2ステップで銘柄を変える。
- 売却した非課税枠は翌年まで復活しない。年内の残枠を事前確認する。
- NISA口座の売却損は他口座と損益通算できない。含み損時の売却は慎重に。
- 売却から新銘柄の購入完了まで5〜7営業日程度の空白が生じる。
- 積立設定は別途変更しないと旧銘柄への積立が続く。必ず確認する。
次に取る具体的な一歩は、証券会社のマイページで「NISA残枠」と「保有銘柄の評価損益」を確認することです。残枠が足りている・含み損が小さい、の2条件を満たしてから売却注文に進みましょう。
よくある質問
Q: NISAで銘柄を変更すると税金はかかりますか?
A: NISA口座で売却した場合、売却益に税金はかかりません。ただしNISA口座の売却損は、特定口座や一般口座の利益との損益通算ができないため、含み損がある銘柄を売却すると損失は切り捨てになります。この点が特定口座との大きな違いです。
Q: 成長投資枠とつみたて投資枠をまたいで乗り換えはできますか?
A: できます。たとえば成長投資枠の銘柄を売却し、その後つみたて投資枠対象のファンドを購入することは可能です。ただし乗り換え先がつみたて投資枠の対象銘柄かどうかを、証券会社の検索フィルターで確認する必要があります。
Q: スイッチングで年間投資枠を超えてしまったらどうなりますか?
A: 年間投資枠(成長投資枠240万円・つみたて投資枠120万円)を超える注文は、証券会社のシステム上で受け付けられないか、超過分が特定口座扱いに振り分けられます。事前にNISA残枠を確認し、超過しない金額で注文してください。
Q: 銘柄変更後、古い銘柄の積立は自動で止まりますか?
A: 止まりません。売却操作と積立設定の変更は完全に別の操作です。売却後も積立設定を変更しなければ、翌月以降も旧銘柄への積立が続きます。「積立設定の変更・停止」を忘れずに行ってください。
Q: スイッチングのタイミングはいつが良いですか?
A: 長期インデックス投資では「市場のタイミング予測は困難」というのが学術的な一般的見解です(市場タイミング戦略の有効性については諸説あります)。乗り換えを決断したら、空白期間を最小化するために早めに動くほうが合理的です。ただし年内の残枠と含み損の確認を必ず先に行ってください。
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